天穏の新しい時代を切り開くお酒です。
生酛造りと吟醸造り、そして三日麹を融合させた清廉な味わいです。
お燗でお召し上がりください。
28BYと29BYで進めてきた生酛吟醸という流れをより深さと高みのあるものに仕上げるため、30BYでは新たな試みがなされています。主なものとして、一つは「仕込み水の無濾過」ともう一つが「三日麹」の二つがあげられます。お酒造りを洗練させるものとして、生酛造りと吟醸造りという挑戦がなされて来ましたが、よりプリミティブな「祈り」を込める作業としてお酒造りを捉え直し、自然からの恵である「お米」を洗練させたものとして「お酒」にし自然へと返す、それを作為の外にあるものへと導くためとも言えるかもしれません。「御神酒」として神様への捧げ物を目指すお酒造りからもう一歩進め、アミニズムを思わせる土着的な「生命信仰」として人に生を宿すものとしてのお酒造りへと立ち位置を移動させています。一神教から多神教へ、単一主義から多様性を、小島杜氏の思考をなぞるのと目眩がするような刺激をもらえます。
天穏のお酒の体験はどこか遠い場所に飲む物を誘ってくれます。それが記憶に残る場所なのかあるいは新しい風景に囲まれているのか、しばらくはこの旅が続きそうです。