奈良県御所市、葛城山の麓にある手造り蔵「千代酒造」さんの限定流通商品です。
軟水で仕込むこの蔵のお酒は柔らかな長い余韻が続きます。
櫛羅生酛の火入れをリリースします。
まだ少し火冷め香がしますが、味わいはとても熟れています。
生酛仕込らしい滑らかさに微かな瓜系果実のニュアンスを忍ばせています。
溌剌と豊な酸があってそのままの温度でも大きなストラクチャーを見せてくれます。
温めるならまだぬるめの温度が美味しいです。
櫛羅のお酒は現社長杜氏の堺さんが蔵にきて最初に取り組んだお酒です。
それ以前は山梨県でワイン造りに携わった経験から、原料へのこだわりが美味しいお酒造りの第一歩と考え、蔵のすぐ側の田圃で山田錦の栽培に取り組みました。
それが今から25年ほど前に始まった櫛羅の出発点です。
当初は55%磨きの純米吟醸酒のみでしたが、田圃が増えるにつれ60%精米の純米酒も加わり、純米吟醸酒は50%磨きにバージョンアップしました。
どちらも速醸酛にて、協会9号酵母で醸されています。
櫛羅のお酒のことをもっと身近に感じたいと思い、私が飲食店さんたちと田んぼ体験に訪問をし出したのがおよそ10数年前です。
水の入った田圃に入り田植えをし、夏には草を取り、秋には自らの手で鎌を使い収穫をすることを通じて、自然の恵みの豊かさと厳しさを体感しました。
そんな中で、よりお酒造りの自然な形である「生酛」での櫛羅のお酒を見てみたいと考える様になり、この度令和二年度の造りにおいてその願いが形となることになりました。
蔵のある櫛羅の地で自社栽培をした山田錦を用いて、生酛造りにを行い生まれて来たのが今回にご案内をする「櫛羅生酛」のお酒です。
三年目の酵母添加は協会6号酵母となります。
昨年よりもやや香の高い仕上がりです。