能登半島の付け根、邑知潟に広がる水田地帯を望む小高い場所に蔵はあります。
現社長の藤田美穂さんが蔵に戻ったのは20年ほど前で、それまでは「ほまれ」のブランドで地元の方々が日々に嗜むお酒を造っていました。
美穂さんが蔵に戻り取り組んだのは特定名称酒を中心とした新しいブランドの立ち上げで、杜氏に横道俊昭氏を迎え「遊穂」の銘柄をスタートさせています。
「遊穂」で目指すお酒造りは、「お料理に寄り添う」あるいは「お料理と共にあるお酒」です。
旨味をしっかりと感じさせながらも主張をし過ぎない、バランスの取れた酸を感じさせる仕上がりを目指しています。
温めて飲む燗上がりするお酒だけでなく冷たいお酒にしても控えめに吟香を纏わせ、欠点と呼ばれる要素も過度に取り除こうとせずに、全体の調和でもって味わいがまとまるようにしています。
全体の印象としては、香は控えめながら口に含むと甘やかな旨味を感じさせる一方で、ほのかな苦味や渋味が適度な句読点となって、味わいの流れに抑揚をつけてくれます。
山おろしをした純米酒、つまりは生酛純米酒のことですね。
生詰原酒での詰口です。