2007年から展開をしてきたナインシリーズがこの度に終売となります。
それに合わせて220周年記念酒として貴醸酒で最後のリリースとなります。
前杜氏原田巧さんから辻麻衣子杜氏が引き継いだお酒造りは、新しい試みとしてナインは登場しました。
ラベルは当時としては奇抜でしたが、中のお酒はオーソドックスな仕上がりで、幅広く飲み手に受け入れられるものでした。
そのナインのお酒も今の辻さんの新しい挑戦にとっては一つの役目を終えたと言えるのでしょう。
今回の大トリを飾るのは、パラカゼイ乳酸菌が生成し高い酸を帯びてしまった2022年のお酒を留め仕込みに用いた貴醸酒となります。
「いくら経験を積んでも思う通りにならない」というのは辻麻衣子杜氏の言葉です。
良いことも悪いことも起こえるしそれらを受け止めながらお酒造りを続けていこうという新たな決意と受け止めることもできます。
菩提もとは生もと系酒毋の一種で、もと立ての時に天然の乳酸を取り込む仕込方法です。
古来より奈良にある菩提山正暦寺で行われていた方法で、江戸時代に記された童蒙酒造記にその記載が見られます。
前杜氏の原田さんが始めた菩提酛を現在は蔵の中心コンセプトに据えて取り組みます。
辻さんの菩提酛は当時に安全性が不安視されていたものを原田さんオリジナルのスタイルで進化をさせたものです。
菩提酛由来の酸味が乳酸系飲料の爽やかさを添え、甘めに仕上げらた味わいながらさっぱりとした飲み口になっています。